# 地域のSDGsを目指して
ビオトープは「生物(ビオ)」と「場所(トープ)」を合成した造語で、「生物の生息する空間」を意味します。
近年、身近な自然環境の喪失が問題視されるようになり、各地で様々な規模のビオトープ創出の取組みが行われています。
工場や企業における環境配慮については様々なものがあり、その中で適切なアプローチが求められている時代です。
近年では生産活動に直結しない動植物など自然環境への配慮も行われるようになっています。そこで注目されるのが「工場におけるビオトープの創出」です。
もともと水は雨が降った後、森や地面をくぐり、有機(プランクトン)に富んだ状態になって川から海へ流れるものです。そこで、捨てていたきれいな水を下水管ではなく自然を再現した人工水路に流すことで、生物がすみやすい自然の状態に近い水に変え、同時に外気温まで水温を下げて海へと放出できないかと考えました。きれいすぎる水を自然の川の水に近い状態に変える仕組み、それがビオトープの役割なのです。
工場から排水される洗浄水(精製水)と冷却水(水道水と同等以上の水質)は、どちらもとてもきれいな水です。しかし、そのきれいな水を下水で捨てなければいけません。
その理由は、あまりにも純度が高すぎることにあります。川の源流では生息する魚が少ないように、純度の高い水を直接川や海に流すのは自然環境に好ましくありません。また、最高到達温度が40度と温かくなるため、この点でもそのままでは流せません。きれいすぎる水を無駄に捨てるのではなく、環境に悪影響を与えずに再利用できないかと考えたのが、ビオトープの設置を思いついたきっかけでした。